アドビの失敗は,フタの下の臭いものの存在をどんどん知らしめていること。自らの首を絞めているに過ぎないのに…。
アドビ社の電子書籍ファイルの著作権保護技術を破るプログラムを公開していたセキュリティー研究者のドミトリー・スクリャロフ氏が,デジタルミレニアム著作権法違反で逮捕された。スクリャロフ氏は,『デフコン』ハッカー会議でアドビの電子書籍のセキュリティー問題を明らかにした研究論文を発表した。アドビ社は,この事件の捜査に関与したことを認めようとしていない。
あ〜あ,やっちまったね,アドビは。開いてはいけない箱を開いて,そこにあるものは実はおおっぴらにしてはいけないものだ。ならば,静かに,穏便に話は進めなくてはいけない。すでに各方面から声はあがっているようだが,脆弱なセキュリティーを指摘する声の主を牢屋に送ることで,やっと保たれるセキュリティーとはなんだろうか? それで問題が解決するわけはなく,不義な結果を招くだけ。アドビは力をふるったつもりだろうが,その力は,あとで自分に返ってくる。愚かなことだ。
電子書籍の普及しない理由は,ここいらのものも原因となっている。図書館がどうやって,1固定の機体からコピーできない書籍を所蔵して,万人に閲覧を許していけるだろうか? 本は水に濡れなければどこでも読むことができる究極の手軽さを持ちあわせているが,電子書籍はそのかけらでも持っているだろうか? 記事中にアドビの人間が云っているが「100%不正コピーを防止できるソフトは存在しない」。これは正しい。だが,臭いものにはフタといったカタチでフタをすると,フタの下の腐敗は進むだけでなく,加速していくんだったら。
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